故郷の山に向かひて言ふことなし。

ゆとり

2016年09月11日 00:08




昨年9月に登山を始めてからずっと登りたかった山。

世界で一番、登りたかった山。

6月に、登ってきました。

ゆとりの生まれ故郷は岩手県陸前高田市ですが、

幼少の頃を過ごしたのは岩手県盛岡市。


物心ついた頃から自分の中にあったのはこの山でした。

嬉しいときも、悲しいときも、楽しいときも、さみしいときも。

自分の成長を見守っていてくれていた山。

心の山であり、畏敬の念を抱く山。


『岩手山』


南部片富士の名を冠するこの美しい山へ。

36年の思いを携えて、やっと、登ることが出来ました。








雨は降らずとも、濃いガスが立ち込める天気。

自分の気持ちを表しているようだ。

念願の山に登るのに落ち着かない。

喜びとも、興奮とも違う、複雑な感情。

受け入れてくれるのか?


思い入れが強すぎて、いろんな感情がありすぎて、落ち着かない。
























どこを登っていても、自分の居る場所が想像できる。

どこにいても、目を瞑ればその姿が浮かび上がる。

それだけの山。

36年間見続けた山だからこそ、初めての登山でも、わかる。










山頂は、少しだけ顔を出してくれた。

受け入れて、くれたのかな?



















濃いガスで視界が悪い。

一回では、見せてくれない。

お前の36年を1日で済ますなと、そういうことか。




ぐっと想いがこみ上げる。

自分の人生が甦る。

悔いることが多かった人生。

人に、両親に、迷惑をかけ続けた人生。

たかだか36年の人生でも、こんなにも、重い。

人知れず、涙が出た。

感極まった涙なのか、悔いの涙なのか。

自分にもわからなかった。























お前には、まだ早い。

全ての想いを伝えるには、1回では足りない。

そんなメッセージを受け取った気がした。




やはりこの山には、自分のすべてが詰まっている。

全てを見ていてくれた山は、ただ雄大で、ただ荘厳だった。



























最後に少しだけ、陽が差した。

また来い。

何度でも。

俺はここにいて、いつもお前を見ている。




そんな、声が聞こえた気がした。





人生を共にした山には人生をかけて向き合わないと釣り合わない。

これから自分は、何度でも、何度でも、この山に登るだろう。

それだけの想いが、この山には詰まっている。

この山の存在なくして自分の人生は語れない。

これからもこの山を尊敬し、一緒にいたいと思う。

誰が何と言おうと、自分の中で一番の山。

美しさも、厳しさも、雄大さも、奥ゆかしさも。

人生と共にある、世界で一番の、最高の山。



ありがとう、岩手山。


必ず、また、来ます。



















おしまい。










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